......え?
ひゅ、と呼吸が止まる。
コーラ色の髪が、さらりと風に揺れている。
相変わらず眠そうに細まっていたひとみは、確かに私を見つめいていて。
鼓動が早くなる。
心臓を打つ、音が聞こえる。
......「このままでもいい」、なんて。
そんなこと言われたら、勘違いしそうになっちゃうよ。
まるで、私だけが特別だって、言われてるみたい。
「ひょえ......っ、」
サラリ、と髪の毛がからめとられる。
裕木くんの指が首に当たってくすぐったい。
「裕木く、くすぐった、」
「......」
「始業式、......っ遅れちゃうよ、」
ああ、やっぱり。
「......巴南、ありがと、」
私は裕木くんに、恋愛対象として見られていないらしい。