「......巴南、」

「はあい?」


「アイツに、」

「え?」



わたしを見ると、裕木くんはもぐ、と口をつぐんだ。



「......何でも、ない」

「?」



一体どうしたんだ?

何かあったっけ?

頭の中でビデオを流させてみるも、そんなことはない。


まあ、何でもない、っていうならいっか?

私は適当に、そう判断して足を進めた。





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