「———巴南、来て」
「裕木く、」
手を引かれて、立ち上がる。
あれ、なんかデジャヴ......?
この光景、さっきも体験したような。
「掛嶋」
そう言った、裕木くんは低い声を出して。
鋭い、掛嶋くんを射抜くような瞳。
「......お前に、渡すわけねーだろ」
..........❋
「で、掛嶋と何してた」
「え、っと、」
「5秒以内に答えろ」
っ、......今日はなんか、私の知ってる裕木くんじゃない。
どこか命令形だし、冷たい感じ。
「......あ、」
「もう5秒たった」
どさ、と高そうなソファに押し倒される。
「......あのさあ、何勝手にあんなこと許してんの。誰が許可した?」
「......っう」
「巴南のかわいーとこはずっと、俺だけが知ってたらいいんだって」
髪の毛が指に絡められる。
手首を抑える腕には、さらに力が込められて。