クラス発表でドキドキするのもこれで最後。


高校三年生。私はその一年間を、
期待と不安が混ざった青春そのものだと思っている。














青い空。







そして真っ白の雲は、


やさしいやさしい風におされて、


ゆっくりゆっくり動いている。











春になると何故か全てが新しい気がする。









思う存分息を吸った。

吸った匂いを自分のものにしてみせる
という思いだ。
















吐き出した後には

思った存分だけの匂いに包まれた心になっていると期待できる。
























でもいつからか春に頼っても心曇ったままになってしまった。















新学期早々、自分の思春期さに恥ずかしさを覚えたので
















上なんて見るのをやめにして、











目の前にやっと挑む。










大きな大きな紙。









さて、三年何組だろうか。


















最後の一年を過ごすクラスは、、、



「矢野、矢野......」












「ーーあった」














三年、四組か。














「私は一組だった!桜果は何組だった?!」



と、テンションと合っていない、
悲しそうな表情でそう言ってきたのは、







ーー松本 優ーー
(まつもと ゆう)






クシャッとする笑顔がよく似合う、
明るい女の子だ。







今は、どうせ私と違うクラスなんでしょ。
と言わんばかりの顔をしているので、
ある意味クシャッとしている。










「私は四組」



「え?!じゃあ、クラスが違うだけじゃなくて階も違うじゃん!!」










うちの学校で三年は、


一組から三組が一階。


四組から八組までが二階。

と、分けられている。



つまり、優は私のことをだいぶ気に入ってくれている。
優とは一緒の部活で、ソフトボールを
毎日一緒に楽しんでいる。そんな仲だ。






うん、正直、何組かなんてどーでもいいし、

優とはどうせ登下校一緒にするんだし、






どーでも......良くは無いけど!いいとして。








大事なのは"彼"がいるか、だよね。








"彼"というのは、彼氏の"彼"で、



名前は




ーー井田 咲夜ーー
(いだ さくや)







定期テストではいつも学年一位をとるほど頭が良い、秀才な人だ。そして優しい。










そういうところが好きだ。










高校一年生の時に同じクラスになり、
高二の秋、両想いだと分かり、








私たちは付き合った。










北条だと出席番号は最後の方なので、
井田を見つけるために目線を順に上げていく。







「えーっと、井田、井田、、」










......
















一人の名前に目を止めてしまった。














咲夜とは昨年同じクラスになれなかった。














結果から言うと今年もだった。













でも、














彼の名前がない。そう判断するのに
















昨年より時間がかかってしまった。










理由は、










自分の中ではあまりにも単純なこと。































ーー北条 夏輝ーー
(ほうじょう なつき)

























先にその名前を見つけてしまったからだ。


















そっか、同じクラスなんだ。























高校三年生。私はその一年間を、
期待と不安が混ざった青春そのものだと
思った。