ドンッ!!


「きゃっ」

「うわっ」


ちょうど教室に入ってこようとしていた人とぶつかってしまい、勢いよくはじかれる。

私にぶつかられた人が、すかさず私の右腕を掴んで引っ張りながら左肩を引き寄せてくれたので、私は後ろに倒れることはなかった。


「すっすみませ―――」


ぶつかった時に打ってしまった鼻を押さえて謝りながら目の前の人の顔を見上げた瞬間、驚きすぎて固まってしまう。

私を見下ろしているのが、今から探しにいこうとしていた夏海くんだったから。

夏海くんも若干目を大きくして驚いている様子だったけど、すぐに私の腕と肩をそっと離し、「わりぃ」とだけ言って教室の中に入っていった。


び、びっくりした・・・。

ていうか来てくれた、委員会。


ほっと一安心すると同時に、私の心はすごく晴れやかになっていた。


「二組の図書委員、夏海なん?」

「ん。休んでるあいだに決まってた」

「ははっ。俺はジャンケン負けた」

「賢斗くんよろしくね~。委員会一緒でラッキー♪」


夏海くんはさっそく隣のクラスの男子や、知り合いらしい女の子に声をかけられている。

ほんとうに友だちが多いんだなぁ。

私はといえば、去年も同じ図書委員だった人を何人か見つけたけど、特に仲が良いというわけじゃないので話せそうになかった。