あぁ…本当に終わったわ…。

さよなら、私の穏やかな人生。

心の中でソッと自分の人生に別れを告げた時。

『おぉ…!莉乃!会いたかったぞ。こんなところにいたのかずっと探してたんだからな!』

黒スーツの大柄男性二人をかき分けて出てきたのは白髪交じりの初老の男性。

そう言って、お母さんを嬉しそうに抱きしめる男性に私の目は点になる。


…え、だ、誰!?


そして、次の瞬間。


母親から出た『お、お父様…?』その言葉に、私はさらに驚愕することになる。


お、お父様って…もしかしてこの人、私のおじいちゃん!?


『ちょっと待って…!なんで、お父様がこの場所を…』


『ふふん。芳樹が亡くなってからもう1年経つ。アイツが生きている間は上手く隠れられていたが…ヤツがいなければ我が西園寺グループの情報網をつかえば、莉乃の痕跡を探すなんて朝飯前じゃわい』


ポカンとした表情で母親と初老の男性のやりとりを見つめる私。


すると、そんな私に気づいた男性が今度は私に視線を移した。