中学3年生の時に父親を事故で亡くしてから、私が母と二人三脚でやってきて早1年と少し。

父親の残していった貯金やたまたま入っていた生命保険で得たお金を切り崩しつつ、つつましかやかに生活していた私達。

私自身、なるべく母に負担をかけないようにと、一生懸命勉強して、高校は特待生制度を利用し安く通える学校を選んだ。

…高校までは卒業したかったけど…しょうがない、よね。

そう考えていた矢先。

ピンポーン、ピンポーン。

突然、玄関のインターホンが鳴り響く。

…誰?もしかしてもう借金取りが…!?

と、思わず身構えた私に対し。

『はーい。どちら様ー?』

パタパタと玄関に向かい、対応する母親に頭を抱える。

『お母さん…!ちょっと待って!ちゃんと相手を見てからドアを開けないと…!』

慌てて声をかけたが時すでに遅し。

『…え?開けちゃダメだった…?』

困惑する母親の前、すでに開いた玄関の先にいたのは、黒スーツを着た大柄な男性が二人。

いかにもなその容姿に私は、ヒクッと頬が引きつるのを感じた。