「気にしていません。たしかに、コソコソしていましたからわたしも悪かったのです」
「奥様、おケガがなくてよかったです。この者は、イーサン・グッドフェロー大佐です。軍では公爵閣下の片腕で、プライベートでは執事を務めています」
「ええっ? もしかして、モーリスさんが言っていた公爵のもう一人の執事? この可愛らしい少年が?」

 驚かざるを得ない。

 叫んでしまってから、ハッと気がついた。

 可愛らしい少年って、すごく失礼なことを言っているわよね?

 そのことに気がついたからである。

 ハミルトンが笑い始めた。それはもう心底可笑しいというような豪快な笑い方をしている。