「バンッ!」

 なんてこと。扉が思いっきり開いた。木製の扉が開いた勢いはすさまじく、その風圧がわたしの黒い短髪をそよがせた。

 あ、あぶなかった。

 右足をうしろへひいていなかったら、顔面か体の一部に扉がぶちあたったかもしれない。

 それにしても、わたしってすごい。

 いっさい声を出さず、動じないのだから。

 ハードボイルド系やバイオレンス系のヒロインになれるかも?

 そんなどうでもいいことを心の中で自画自賛をした瞬間である。目の前、つまり裏口が黒い影がチラついたかと思うと、喉元に剣が突きつけられていた。