「ミユッ!」

 自分の名が耳に飛び込んできたときには、すでに抱きしめられていた。

 これが暴漢なら、わたしは完全にアウトだった。

「ミユッ!」
「ミユッ!」

 さらに呼ばれた。

 現状を把握するのは瞬時に出来る。これもまた、ここで学んだスキルの一つである。

「ボス。それに、ジェフにネイサン」

 抱きついてきたのはボスで、すぐ目の前にはベテラン調査員のジェフリー・エドモンドとジョナサン・エドモンドの双子の兄弟が立っている。

 ちなみに、ジェフリーはジェフ。ジョナサンはネイサンと愛称で呼んでいる。

 というか、どうしてわたしが来たことがわかったのかしら?

「ミユ。おまえが来るのはすぐにわかったよ」

 ボスが言った。彼におもいっきり抱きしめられた後はジェフが、そのつぎはネイサンにおもいっきり抱きしめられた。