一応、男爵令嬢としてのマナーや習慣というものはある程度知識として備わっている。だけど、いかんせん経験がない。社交界にデビューすらしていなかった。

 彼は、わたしが名ばかりの男爵令嬢だと知ってがっかりしたに違いない。

 もちろん、わたしの前でそういうことはおくびも見せないけれど。

 とにかく、わたしは「何でも屋」で雇ってもらった。

 そして、彼からあらゆることを叩きこまれた。

 正直、仕事は大変だった。男性でも体力や気力が尽きてしまう。いくらわたしが体力バカでも、男性には負けてしまう。
 暴力が日常的だということもある。