夫であるはずの公爵に認めてもらえないばかりか、彼にとってわたしは空気みたいな存在なのに。

 いいえ。違うわね。

 空気どころか、姉の存在を打ち消す呪いみたいな存在なのかもしれない。

 それが奥様だなんて……。

 姉は、公爵にはどういう態度をとっていたのだろうとふと思った。

 彼女は、使用人たちにはとんでもない態度をとっていた。だけど、公爵にたいしては同様に態度はとらなかったはず。
 なにせ夫だし、金貨も融通してもらっているから。