「あの腹黒野郎は、自分がとってかわろうとしている。国王の座に就くのはムリだが、傀儡の国王を立てるか空位のままにして自分がこの国を支配するつもりだ。その為に、将軍を利用して国王をどうにかしたいと考えついた。その夢物語をほのめかされたとき、奴とそろそろ手を切った方がいいと思った。だってそうだろう? たかだか諜報員になにが出来る? 諜報員に出来ることと言えば、情報収集やちょっとした小細工程度だろう? そもそも、おれに話を持ち掛けてくるという時点で、その夢物語はほんとうに夢で終わっちまっている。どうせなら、金をかけて裏稼業のプロに依頼すべきだったんだ」

 ジェロームの告白の前半部分は驚きだったけれど、最後の方の彼の持論はみょうに納得してしまった。

 というか、あの手紙って国家転覆レベルのすごいものだったのね。