「宰相閣下、お久しぶりです」

 ブレントンの銀仮面の下の口角が上がった。愛想笑いとすぐにわかる笑みを刻んでいる。

「正直なところ、すっぽかしたかったところです。が、今宵はこのパーティーに花を添えたくやって参りました」
「ほう……」

 たしかに、宰相は控えめにいってもカッコいい。

 お腹は出ていないし、髪の毛だってちゃんとある。銀髪はフサフサしていて申し分なさそう。顔は、若い時分よりかは皺は増えているけれど、年齢ほどではないかもしれない。かえってその皺が渋みを増している。

 どこかの小太りハゲよりかは、ずっとずっと見栄えがする。