だけど、それはわたしの希望的観測であり思い違いにすぎなかった。

 姉は自分より立場が悪かったり気の弱い人に対しては、わたしに対する態度とあまりかわらなっかったのである。

 それでも暴力はふるっていなかった。物理的な暴力、である。

 それだけでも救いであることはいうまでもない。

 まあ、言葉の暴力もひどいのはひどいけれど。

 モーリスも含め、公爵家の使用人たちは言いにくそうにでもポツリポツリと語ってくれた。

 どれだけ姉が横暴であるかを、さらには理不尽であるかを。

 わたしはそれを恥ずかしく、申し訳ない思いできいた。

 姉がウインズレット公爵夫人であったのは、半年にも満たない。それなのに、彼らの話は尽きることはない。

 姉は、公爵がいない間にいろいろやらかしていた。