「はい。このドレスが奥様には一番似合うかと」
「待て待て、ジリアン。ミユは、このままの恰好でいい」
「はあああ? ってブレントン様、いくらなんでもこの恰好は……」

 姉の普段着用のドレスを自分でカスタマイズしてみた。もはやドレスとしての原形をとどめておらず、動きやすさ抜群のワンピースみたいになっている。

「そんな人目を惹くような恰好はさせられない。だってそうだろう? パーティーには貴族子息たちだけでなく、各界の要人や著名人たちが大勢来る。そんな連中に彼女を見せられるか? わんさと群がられたらどうする」
「ちょちょちょ、ブレントン様。待って下さい。『美姫』と名高かった姉ならともかく、わたしですよ? 『ちんちくりんの面白顔』と揶揄われるようなことはあっても、ブレントン様がおっしゃるようなことはぜったいにありません」
「バカなことを言うなっ! ミユ、いったいなにを言いだすんだ?」
「それはこちらの台詞です」

 ブレントンったら、なにを言いだすのかしら。

 容姿にコンプレックスのあるわたしにとっては、いまの彼の台詞は嫌がらせレベルにひどすぎる。