それが姉のやったことに対する贖罪になるとは思わないけれど、わずかでも気持ちが軽くなるかもしれない。

 いそいそと紐をほどいて靴箱のふたを開けてみた。

 そこに入っていたのは、金貨が数枚と銅貨が数十枚。それから、数枚の紙片だった。

 これっぽっちでは、なんの足しにもならないわよね。

 ブレントンは、実際に被害にあった額を教えてくれない。もちろん、執事長役のモーリスもである。

 姉がどれだけ盗んだり横領したのか、生まれながらの超貧乏のわたしにはまったく想像もつかないし予測も不可能。

 いずれにせよ、これは返そう。