「旦那様のお気持ち、充分理解出来ます。奥様は、こういう世界のことは知らない方がいいのです。奥様は、街で調査員の仕事をされていたのです。人間(ひと)の本性を目の当たりにされていらっしゃいますよね? せっかく旦那様に嫁いでくださったのです。どうか旦那様と歩み、しあわせになって下さい」
「そこなのよね」

 寝台に背中からダイブした。

「しあわせってなにかしら? おとなしく添い、子どもを産んで育てること? 夫に尽くし、子どもに尽くし、気がついたらおばあちゃんになっている? それがしあわせ?」

 天蓋を見つめつつ、しあわせってなんだろうと考えてしまう。