「ねぇ、ジリアン。きかせて」

 わたし専属のメイド役のジリアンが部屋に来るたびにねだってしまう。

「出来ません」

 そして、彼女はわたしの願いをピシャリと拒否ってしまう。

「旦那様から、『ミユには話してはならない』と厳しく仰せつかっているのです」
「わああっ! うまいわね。いまの、ブレントン様にそっくりだったわ」
「エヘンッ! わたしたちは、物真似や演技が出来なければなりません」

 彼女は腰に手をあて、胸を張って誇らしげに言った。