「よしっ! おっと、公爵閣下ではなくブレントンだ。そう呼んでくれと頼んだよな?」
「はい、ブレントン様」

 いまなら彼のことを「公爵閣下」ではなく、「ブレントン」と名で呼ぶことが出来る。

 彼が駆けだした。

 陽光は、まるでわたしたちを祝福してくれているみたい。

 まるで小説のワンシーンみたいに、わたしたちはキラキラ光る陽光に包まれつつ屋敷へと帰った。

 後々、このときのことを思い出すたび、わたしたちはどちらも顔を真っ赤にしてしまう。二人とも、このときには感情が昂ぶり、それがさも自然で当たり前のように思っていた。