「手続き? ああ、それなら心配はいらない。おれがクラリスと夫婦になったという事実はないからな。書類上では、だが。手続きを行わなかったのだ。だって、そうだろう? 最初から彼女を陥れるつもりなだけで、夫婦になるつもりなど一切なかったのだから」

 公爵は、シレッとそう言った。

 まあ、姉より公爵の方が一枚も二枚も上手だったわけね。

 心の中で苦笑してしまった。