「すべてはおれの落ち度です」
「だから言っただろう? ミユからぜったいに目をはなすな、とな」

 ボスは、わたしを指さした。

「こいつはな、そこらのやんちゃなガキよりもずっとずっとやんちゃなのだ。この恰好を見ろよ。どこからどう見てもガキだろう?」
「ちょっと待ってよ、ボス」

 まだわたしを抱いたままの公爵の手を振りほどくと、ボスの前に立った。

「ガキって、そこまでではないわ。こんな恰好をしているから、少しだけそう見えるのよ。それにやんちゃって、その必要があるからよ。ふだんは違うわ。たぶん、だけど。わたしのことより、ボスよ。公爵閣下のことよ」
「ああああああ? おれとブレントンのことだぁ? 簡単なことだ。ブレントンはおれの甥っ子だし、ブレントンにとっては、おれは頼りがいがあってやさしくて男気のある叔父ってわけだ」
「嘘っ! 嘘つきっ!」

 いまのわたしの心からの叫びは、中央広場どころか警察署をはじめとするこの周囲の建物にも響き渡ったに違いない。