「失礼だな。こんなに可愛らしい仔犬ちゃんのことを「狂犬」だなんて。傷ついたよ」
「自分で言うか?」
「自分で言うわけ?」

 ソプラノボイスでのつぶやきに、公爵と二人でツッコんでしまった。

「おれもいるぞ」

 そのとき、公爵の大きな体の蔭からボスが現れた。

 両脇にジェフとネイサンを従えている。

 えええええっ! ボスとエドモンド兄弟まで現れたわ。

 もしかすると、三人は、わたしが気がつかなかっただけで見張っていたかなにかしていたのかもしれない。

「なんだとっ!」

 ジェロームをはじめ、男たちはいっせいにボスに注目した。