「バカ野郎っ! なにをみっともないことをやっているんだ」

 ジェロームが怒り狂うのは当然よね。わたしが彼でも怒り狂ったわ。

 わたしにかかってきた三人は、ヨロヨロと立ち上がった。

「どけっ! おれがやる」

 そして、ジェロームは自分でやると言いだした。

 彼みたいな中途半端なリーダーは、こういうシーンではたいてい部下にやらせて文句ばかりのたまうのに、少しだけ意外だった。

 と感心した瞬間、彼は石畳を蹴っていた。