もしかして、このいまのやりとりってバイオレンス系やミステリー系小説に出てくるような心理戦なの? ヒロインと悪役との頭脳戦なわけ?

 わたし、いまの挑発にのらなきゃってやつ?

 それとも、クールに笑い飛ばす?

 姉がわたしを嫌っていたのは事実だし、わたし自身や第三者にひどいことだって言っていた。いまさらその事実を突きつけられてもなにも感じない。

「でしょうね」

 ショックを受けるようなリアクションはぜったいにしない。それも面白かったかもしれないけれど。

 だけど、クールなレディを前面に押し出したい。だから、一言で片づけた後に「フンッ」と鼻を鳴らしておいた。