「ただのハッタリだ」

 ジェロームは、不安を払拭するかのように断言した。

「そう思いたければ思えばいいわよ。せっかく亡き姉のかわりに役に立てれば、と思ったのに。姉妹ともどもそんなふうに思われているなんて心外だわ。わたしたち、相容れないことがわかったみたいね」

 もう少し情報が欲しい。だけど、下手なことはいえない。

 言葉を選びながら、しかも相手の表情をうかがいながら話すことは、異常に疲れてしまう。

「ふんっ! どこがお役に立つ、だ? 少なくとも『クソ女』は、最初だけでまったく役に立たなかった」
「だから殺したの? 役に立たなかったから、殺したわけ?」
 
 自分の声のトーンが落ちたのを感じる。