「クソッ! 逃げ足の速いガキだぜ」

 そのタイミングでうしろから声がした。

 わたしを追ってきている連中が追いついたようである。

 ジェロームと三名の男たちは、途中で先回りしたのね。

 彼らは、この西街区を知り尽くしているということになる。

「んんんんんん? これはこれは。ガキだとばかり思っていたが、ミユ・ギャラガーじゃないか」
「なんだと? あのギャラガー?」
「驚いた。ギャラガーとはな」

 ジェロームが断言すると、前後の男たちがざわめき始めた。

 というか、わたしが一番驚きなんだけど。

 どうして、彼らがわたしのことを知っているわけ?

 もしかして、わたしって有名なの?