全速力で走りだしていた。こんなちんちくりんでも、走るのは速いのよ。「何でも屋」のエドモンド兄弟より、ずっとずっと速いのである。

 というわけで、あっという間に馬車のすぐ近くにいたった。

「ミユ様」

 イーサンはすでに気がついていたみたい。可愛い顔に可愛らしい笑みを浮かべて迎えてくれた。

「ミユ」

 そして、馬車から降り立ったばかりの公爵もまた気がついていたのね。

 銀仮面の下にやわらかい笑みが浮かんでいる。