「ジェフ、それからネイサン。すごくうれしいわ。『パン屋』のパン、あいかわらず大人気なのね」

 そう。紙袋の中身は、焼き立てのパンである。それから、ホットチョコレート。

 事務所の近くに「パン屋」という焼き立てのパン屋さんがある。「パン屋」というのがお店の名前である。ぜったいに間違いようのない店名なのよね。ここのパンは、この王都でも一番だと断言出来るほど美味しい。その証拠に、毎朝、パンを求める人々が長蛇の列をつくっている。

 その「パン屋」にエドモンド兄弟が並んで買って来てくれたのである。

 さっそくいただくことにした。

 もちろん、朝食である。

 ウインズレット公爵邸で軽く食べたような気がするのは、ただの気のせい。そんなことは、過ぎ去った過去。

 わたしには関係がない。

 そういうことにしておくことにする。