「迷惑だったか?」

 焦りまくっていると、公爵が口を開いた。 

「い、いえ。迷惑だなんてとんでもないっ!」

 そう答えた自分の声が大きすぎて耳が痛い。しかも、完全に裏返っていた。

 ど、どうして? 公爵は、なんの関係もないのよ。あっ、関係はあるわね。わたしたち夫婦で、わたしは彼の「お飾り妻」だから。
 まぁ、少なくとも彼はわたしのことは関係ないと思っている。

 それだったら、わたしも気楽にすればいいのではないかしら?

 身構えたり警戒したり、なんてことは必要ないわよね?