男性が姉に贈ってくれるものの二番目に多かったのが、その花だった。

 姉は、帰宅するとそれをボロボロになっている床に叩きつけた。その上で踏みつけにし、ゴミ箱に投げ捨てていた。

 それを目の当たりにし、何の罪もない花が気の毒でならなかった。当然、それを贈ってくれた男性に対しても同様に気の毒でならない。

 だから、姉に「売るから譲って欲しい」と言って引き取った。そして、自分の部屋にこっそり飾った。

 姉は、「そんなもの銅貨一枚にもならないわ」と言っていたけれど、どの花も高価な物ばかりだったから、ほんとうに売ったら三食分くらいにはなったかもしれない。

 姉の花嫌いのことはともかく、またしても公爵の意外な面に触れてしまった。