「気持ちがいいわよね」

 テラスへ出ると、両腕を空へ突き上げ伸びをした。

 肌寒いけれど、今日も晴れのよう。

 朝のささやかな陽光が、いたるところに溢れ返っている。

 このテラスから眺めることの出来る庭園の向こうに広がる森が、これがまた美しい。

 その森から、小鳥たちの朝のお喋りがきこえてくる。

 手すりまで行くと、そこに両手をついて身を乗りだした。

 その瞬間、違和感を覚えた。具体的には、視線を感じた。
 感じたときには感じる方向、つまりテラスの下へ自分の視線(それ)を向けている。