普段は当たり前だけど、ちゃんと目を見て話している。でも、今日は何故かそれができない。

 ……意識しすぎているからだと、自分で分かるには時間はかからなかった。

 目の前にいるのは、ただの幼なじみじゃん。何を意識することあるの!?
 そう自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、意識してしまい……。

「おい、お前どこ見てんの? そっちに俺、いねぇぞ」

「えっ? あぁ、うん! 先生いないかなぁって見てただけ!」

「先生? 意味分かんねぇ……」

 そう言って敦は首を傾げた。

 私だって、意味分かんないよ。

 何で、敦のことを直視できないのか。
 好きだって自覚したのは昨日。きっとこれが理由だというのは分かってる。

 好きになると直視できなくなるものなのだろうか。
 初恋ではないものの、こんなに心がざわつく恋は、今までにしたことがないから分からない。

「ほら、帰るぞ!」

「あっ、うん……」

 私は言われるがままに、敦の後を追いかけ、一緒に校門へと向かった。

 そういえば、敦に聞こうと思っていたことがある。
 それは――