「……なんでわかるんだよ」
……怖いくらい当たってるんだけど。
糸原の言葉に唖然としていると、彼女は呆れたように笑った。
「わかるに決まってるでしょ。何年近くにいると思ってるの?」
「……ほんとだよな、さすがエミ姐さん」
「なにその呼び方。変だからやめて」
「辛辣なところもさすが糸原だわ……。沁みるぜ」
ぜんぶわかってる。
俺のためにわざと大盛りの焼きそばを買ってくれたことも、いつもどおりに振る舞ってくれていることも。
俺が悩んでるとき、となりにいるのはいつも糸原だったのかもしれない。
いまさらながら、そんなことを気づく。
「わたしは、沢内が阿久間より劣ってるとはまったく思わないよ」
「……おう、いいやつだな。糸原」