ぐいぐいと手を引かれて、彼女に慌ててついていく。
去り際に委員長に謝りながら、糸原の優しさに感謝した。
そのままずんずんと廊下を歩き続け、焼きそばが売っている中庭までたどり着くと、糸原は俺のほうを振り向いた。
「食べるでしょ?」
糸原の問いにうなずくと、彼女は満足そうに微笑んで焼きそばを受け取る。
その量があまりにも多いもんだから、思わず突っ込んでしまう。
「ちょ、……糸原、これ俺らふたりで食べれる量じゃねえだろ!」
「だって、着物似合ってるからってサービスしてくれたんだから仕方ないでしょ」
「だからって余ったらどーすんだよ……」
「失恋中の沢内なら食べれるんじゃない?」
「……糸原は優しいのかそうじゃないのかわかんねえんだよ」