恭平くんとは階がちがうから、偶然会えることがめずらしいことは、本格的に好きになってからはじめて知った。


でも一年生のときに彼とすれ違ったときに、目を奪われて、彼の切れ長の瞳が、脳に焼きついて離れなかったのだ。


集会やイベント事では無意識にずっと探していたし、そのときは会えたら幸せ!くらいに思っていた気がする。



「でも……それが好きに変わったのは、たぶん去年の文化祭のときなんだ」


「そーなの?」



「うん。わたしに微笑んでくれた恭平くんの優しさに……恋に落ちちゃった」




いままで遠くで見ていた人。

そんな憧れの人が、目の前でわたしに笑いかけてくれた。



それだけで、恋に落ちるのは一瞬だったんだ。