「……恭平くん」
思わず、彼の名前をこぼしてしまう。
わたしが呼べば、彼が振り向く。
その光景がいまだに信じられなくて幸せで。
大好きな人に声が届くことが、どれほど胸が満たされるのか、恭平くんはわかっていないと思う。
「わたし、恭平くんとキス……して、嫌だったんじゃなくて、……怖くなったの」
「……うん」
「恭平くんに……これ以上求めてしまって、嫌われるのが怖かったの」
彼に、わたしの本音を暴く。
恭平くんの特別な存在になりたかった。
なってると思ってた。
そうして恭平くんに触れたら、もう後戻りなんかできなくて。
彼がわたしから離れていくのが、すごく怖くなったのだ。