オールバックにしている髪のおかげで、彼の顔がよく見える。
めずらしく余裕がなさそうな恭平くんを見ると、また好きが溢れそうになる。
それでいて、期待が膨らむ。
もしかしたら、わたしのほしい言葉をくれるんじゃないかって。
別れ話じゃないかなんて発想は、早くも薄れていっていた。
「会ってないあいだに、みゆうちゃんのことずっと考えてたよ」
「……そう、なの?」
「うん。自分の気持ちを整理するためと、みゆうちゃんが実行委員で忙しそうだったから、文化祭が終わるまで話すのはお預けにしようと思ってた」
「そう、だったんだ……」
てっきりもう、わたしのことなんか忘れていたんだと思っていた。
呆れられて、こんなふうにふたりで話せなくなるかもって。