くすくすと笑っている彼は、からかっているわけではなさそうだ。



────去年の文化祭、好きな人をどうにか写真におさめたくて、恭平くんに声をかけた。


めちゃめちゃに緊張していて、呂律が回らなくて、とんでもなく噛み噛みで呼び止めたのを覚えている。



『あ、ああああの、よければ、お写真撮らせていただいてもっ、よろしいでしょうか……っ!』



そのときは、ツーショットを撮ってもらえるなんて夢にも思っていなかった。

恭平くんはわたしにとって、雲の上の存在だったし、簡単に近寄れない人だったから。



それなのに、彼は思ったよりも気さくで優しかった。


わたしが恭平くんに、震える手でスマホを向けていると、彼はすごく驚いた顔をしていて。

そのあとぷっと吹き出して、わたしに手招きしてくれたのだ。




『いっしょに撮ればいーじゃん』

『いいいいいや、まさかそんな、そんな贅沢な……っ!』


『はい、撮るよー』