そう思いながらわたしも謝ると、彼は困ったように笑う。



「俺さ、正直、みゆうちゃんと付き合ったときは深い意味なんてなかったんだよね」



なにかを話し出そうとしてくれる彼の瞳を真っ直ぐに見据える。

やっと彼の本音を聞ける気がして、心のわだかまりが溶けていく予感がする。



……付き合ったことに深い意味はなかった。


そう言われても、納得して傷つかない自分がいた。


なぜなら、恭平くんがそんなことより伝えたことがあるような気がしたから。


わたしにちゃんと渡してくれる言葉を、すべて受け止めようと思う。



「でも生徒手帳を拾ったとき、すぐに文化祭のときのあの子だってわかってた」

「え……、恭平くん、わたしのこと覚えてたの?」


「うん、軽くね。去年の文化祭で声をかけられたとき、おかしな子がいるなって思ってたから」