星羅がバカにした口調で言い、後ろのふたりも嘲るように笑った。

 学生時代に彼氏ができた経験もないし、ほとんど家にいる生活で出会いなんてない。でも、人生なにが起こるかわからないから、私はとりあえず今を精一杯生きようと思う。

 彼女の攻撃を意に介さず、口角を上げてみせる。

「野良猫に好かれるのは優しい人なんだって。知らない?」
「なにそれ。迷信でしょ」

 さもつまらなそうにする彼女に笑いかけて、目線を前に戻す。

 星羅とは、お互い小学生の頃はそれなりに仲よくしていたんだけどな。両親の影響を受けて私を邪険にするようになったのだろうと思うと、やっぱり切なくなる。

 心から幸せだと感じる日々が自分に訪れるのだろうか。三人の声をぼんやり耳に入れつつ、狭い車窓から七夕の夜空を見上げた。