叔母も急に居候することになった私が単純に邪魔らしい。彼らの気持ちもわからなくないし、都合のいい時だけ利用され、あとは邪魔者のように扱われる生活も致し方ないのかもしれない。

 それでも、三人と家族になりたいと思う時期もあった。言うことを聞いていれば、いつか私も本当の娘のように大事にしてもらえるんじゃないか。そう願って、どれだけ理不尽な思いをしても耐えてきたのだ。

 今はもう、そんな望みは捨ててしまったけれど──。

 ハンドルを握る手に無意識に力を込めていた私は、軽く息を吐いて気を落ち着かせる。そしていつものように平気なフリを決め込んで、口元に笑みを作る。

 この人たちの意地悪にまんまと傷ついていたら、どんどん落ちていくだけだとわかっているから。

「じゃあ、私が家を出る時が来たらごちそうするね」

 高校を卒業するまで援助してもらったのは確かだ。その恩返しと、檻のような家から抜け出す対価だと思えば、皆のフルコースを払うくらいどうってことない。

 私は『お前にかける余分な金はない』という理由で、大学や専門学校には通わせてもらえなかった。星羅は普通に四大に通っているというのに。