まつ毛も同じようにくるんと上向きになっていて、可愛らしい顔立ちを強調しているものの、性格は素直に可愛いとは言えない。

 やや不満そうにしたかと思えば、彼女はぱっと後ろを向いて笑顔を見せる。

「でも、最後のミニャルディーズはすごくお気に入り! お腹いっぱいでちょっとしか食べられないのが残念だけどー」
「ミニャルディーズってなに?」

 私は運転しながらタイミングを見計らって問いかけた。

 さっきのように〝話しかけるなオーラ〟が出ている時もあれば、〝ツッコんでほしいオーラ〟が出ている時もある。

 これらを間違えると不機嫌になってしまうのが鮫島一家なのだが、十年以上一緒に暮らしている私は、オーラを見分ける能力は達人並みだと自負している。

 推測通り、星羅は勝ち誇ったような笑みをこちらに向ける。

「コースの最後に出てくるひと口デザートのことよ。あのレストランは宝石箱みたいな木箱の中に可愛いデザートが詰まってて、どれでも好きなだけ選べるの」
「へえ、すごいね」
「可愛すぎて深春ちゃんには似合わないかも~」

 にっこり笑って一ミリの遠慮もなく嫌みを口にされ、私の心に一瞬ピシッとヒビが入った。が、これも日常茶飯事なので表面上はいたって平静だ。