「ちょっと、なにしてるんですか!?」
警戒しつつ声をかけると、男性はスマホを持った手と共にこちらに視線を下ろした。間近で見たら、顔の端正さがさらに際立つ。
「ああ、写真を撮らせてもらっている。声をかける必要はないと思ったんだが」
滑らかな低い声も素敵だけれど、あまりに堂々と返されたので少々面食らってしまう。家を撮影するのは違法ではないかもしれないが、こちらとしてはいい気はしない。
叔父たちも嫌がるんじゃないかなと考えながら、私も落ち着いて話す。
「勝手に撮影されるのは、あまり気分がよくありません。というか、どうしてこの家を撮ろうと……?」
「別に個人的に興味があったわけじゃない。これも仕事なんでね」
意外なことを言う彼はバッグにスマホをしまい、代わりに名刺を取り出す。それを門越しに私に差し出してきた。
「私は不動産会社の者だ。今日ここへ来ると聞いていないか?」
「えっ」
うそ、じゃあこの人がお客様?
受け取った名刺をまじまじと見て、私は目を見開いた。〝黒凪 奏飛〟という名前と、さらに代表取締役社長と記されていたから。
警戒しつつ声をかけると、男性はスマホを持った手と共にこちらに視線を下ろした。間近で見たら、顔の端正さがさらに際立つ。
「ああ、写真を撮らせてもらっている。声をかける必要はないと思ったんだが」
滑らかな低い声も素敵だけれど、あまりに堂々と返されたので少々面食らってしまう。家を撮影するのは違法ではないかもしれないが、こちらとしてはいい気はしない。
叔父たちも嫌がるんじゃないかなと考えながら、私も落ち着いて話す。
「勝手に撮影されるのは、あまり気分がよくありません。というか、どうしてこの家を撮ろうと……?」
「別に個人的に興味があったわけじゃない。これも仕事なんでね」
意外なことを言う彼はバッグにスマホをしまい、代わりに名刺を取り出す。それを門越しに私に差し出してきた。
「私は不動産会社の者だ。今日ここへ来ると聞いていないか?」
「えっ」
うそ、じゃあこの人がお客様?
受け取った名刺をまじまじと見て、私は目を見開いた。〝黒凪 奏飛〟という名前と、さらに代表取締役社長と記されていたから。