気になる。
気になる。
気になって仕方ない。
千村はどうするんだろう。
もし、もしも、ダメだったら、
どうしよう………
「…おはよ。」
「………」
通りすぎてしばらくして止まる。
「無視すんの?」
勢いよく振り向くと、俺の頭を支配して離れない千村謙の姿があった。
俺の前にきた千村は昨日渡した台本を取り出した。
「やるよ。」
「えっ?」
まさかの展開だ。
「ちゃんと出来るかはわかんないけど、できる限り頑張るから。」
「…うん、」
「よろしくな。」
差し出された手を掴み握手する。
「よろしく?」
俺の声を聞いて笑う千村。
頭がついていかない俺。
卒業までの短い間、
これから一緒に過ごすことになる、
最初で最後の高校三年。
一番の思い出を一緒に作ろう。
とびっきり青春しよう。