ごめん。
ごめんな。

お前の命を奪う俺を許さなくていい。
一生、その罪を背負う。


だからせめて、母親だけは恨まないでいて欲しい。



気付けば、頬に温かいものが伝っていた。


大切にしたいと思っていた幼なじみ。
照れや気恥ずかしさなんて気にせずにいたら、ずっと一緒にいられたのだろうか。

この手で幸せにして、生まれてくる子供を二人で抱きしめて育てていく毎日を、過ごせたのだろうか。


「もう、遅いけど……」


こんな状況にしたのは全て俺だ。
玲奈を真緒をボロボロにして、自分の子供を殺して。


最低の馬鹿だ。


「理玖!」


声がかかって、慌てて頬を拭った。
見ると、母親が慌てふためいて俺へ駆け寄ってくるところだった。


「玲奈ちゃんが……! 早く!」


「……わかった」


遠くで何かが倒れる音がした。
悲鳴のような声は、玲奈のものだと思う。

真っ青になった母を置いて、玲奈の元へ走った。