送信して4時間程経ったけれど、返信はない。
忙しいのかな?それともやはり、初対面で失礼な奴だなと思われたのだろうか。など想像していると彼のメッセージが表示された。

『ゴメン、返事遅くなった。祖父は大迫銀二郎、空師だ。ちなみに親父も空師だ。大迫緑苑は俺の親父が代表を勤めてる』

よかった(ゴメン、返事遅くなった)ここだけを読んでどうやら嫌われたわけではないのだなと安堵した。

そのまますぐ父に報告すると、メッセージから父の興奮が伝わってきた。

『美咲、それは凄いぞ!大迫銀二郎さんは伝説の空師と言われているんだ。そしてその息子さんも、お孫さんもトップクラスの空師なんだ。通常なら丸一日かかる作業も、彼らの手にかかれば半日ですんでしまうほどなんだぞ。お父さんは以前剪定を頼もうと思って連絡したことがあるんだが、剪定時期と彼らのスケジュールが合わないと言われ断念したんだ。美咲、剪定を頼みなさい。彼らに剪定してもらえるなんて、そうそうないぞ!お父さんも彼らの仕事を間近で見たいもんだ。日時が決まったら教えなさい』

『うん、わかった』

普段は何事も冷静沈着で慎重な父が、本当に彼が大迫緑苑の人なのかも確認せず頼みなさいと言ったのには驚いた。

そんなに有名な人なら、もしかしてなりすましもありうるだろうに。けれど、それはないだろうなと思う自分もいた。彼が優しく木に触れている姿を思い出していたからだ。恋人にでも触れているような感じだった。