「本気なの?」
「当たり前だろッ!」
「本気の本気?」
「しつけぇぞ」

さっきまで照れていた彼が物凄く焦りながら怒っているのもよく分かる。
それに、初めてスーツを着てまでプロポーズしてくれたってことの意味も。
だけど、この額は……。

「プロになってからの賞金とスポンサー契約金の全てだからな」
「……」
「俺の選手生活を全部お前にやるって言ってんのッ」
「……ん」
「拒否るの無しって言っただろ」
「……ん」
「受け取れ」

何、この拷問。

「こんな大金貰ったら、怖くて一人じゃ寝れないじゃない」
「フッ、俺が一緒に寝てやるから平気だろ」
「っ……」
「指輪はやだ、あれもやだこれもやだって、お前我がまま言い過ぎ」
「……ごめん」
「お前のために死ぬ気で王者の座を取ったんだから、答えは『はい』しかねぇぞ」
「……はい」
「おっ、今『はい』って言ったな?」
「うん、……んっ」

翔の想いが本気なんだと気付いた私は観念して頷いたら、思いっきり強く抱き締められた。

「凜っ、すげぇ好き」
「ふぇ?」
「めっちゃ好きっ」
「っ……」
「やべぇくらい好きすぎてマジで今すぐ押し倒したいっ」
「えっ?!あ、それは勘弁!」
「何でだよっ!十年以上我慢してんだからいいだろっ」
「やっ……んっ……」

反抗しようとした口を塞がれ、彼のアクセル全開のホールショットはあり得ないほどの彼の愛がフルスロットルだ。
世界王者の妻になるには、相当の覚悟が必要らしい。
だって、これからもノンブレーキで攻め続ける予定らしいから。

~FIN~