(四年後の三月、凜が大学四年)

自宅のリビングテーブルに置かれたノートパソコンを射抜く勢いで見つめる。

「あと一分ね」
「実況中継しなくていいから!」
「凜ちゃん、絶対受かってるから大丈夫だよ」
「翔パパ、気休めな言葉は要らない」
「………」
「………」

県立大学の健康発達学部に進学した私は、先月末に国家試験に挑んだ。
専攻科目は管理栄養士。
翔と母親の為に国家資格を取得するため、高校二年の冬休み明けからバイトし、学費を貯めていた。
裕福な家庭ではないから、私立の大学には到底進学できない。
受験するなら国公立一本のみ。

大学四年間で受験資格が得られ、大学四年の二月の第四日曜日が国家試験の日だ。
年に一度だけ。
試験の合格発表が今日、三月の第四金曜日の午後二時だ。
大学入試の時よりも緊張する。
センター試験は結構点数が取れたから少し気が楽だってのもあったけど。
国家試験はやっぱり別物だ。
翔から貰ったペンダントを握りしめ、パソコンで厚生労働省の管理栄養士国家試験合格発表のサイトを更新する。

「あったぁ~~っ!!!!!」
「凜っ、おめでとう~~~ッ」
「凜ちゃん、よく頑張ったね~おめでとう~!!」

三人で抱き合いながら、いい歳してリビングで何度もジャンプした。
管理栄養士には私の苦手な数学要素が含まれていて、それだけが心配で堪らなかった。

よかったぁ、これで翔の夢に少しでもサポート出来そう。