「例のSNSが荒れちゃったときに、純希先輩が『俺しばらくの間晴夏の
こと送ってくわ』って言い出したんだって。何もいわずに私のこと守って
くれてたんだよね」


単純でしょ、と晴夏は笑った。そんなことないよ、と私が返す。その後
言葉が続かない私を見て、晴夏は私が何を考えているのかわかった様子
だった。


「『...どうして別れたの?』っていう顔してる」


思ったことを見透かされて私は黙ってしまった。
だって今の2人を見ているとお互いを嫌いになるような要素なんて何も
ないように見える。まだちゃんと誰かと付き合ったことがない私には
わからなかった。


「高1と中3ってさ、1コしか違わないのにすごく遠いの」


純希先輩って男友達多いじゃん。
中学のときは、男友達と遊んでる時でも会えたけど、高校生になったら
会えないんだよね。まあ、同じ学校にいないんだから当然なんだけど。
もちろん私と会う時間は作ってくれたよ、だから1年くらいは続いたん
だし。でもやっぱり、寂しい気持ちのほうが勝っちゃった。

私って、自分で思ってたよりずーっと面倒くさいみたい。好きな人には
声が届くくらいのところにいてほしいの。イチャイチャしたいわけじゃ
なくて、ただ近くにいてくれるだけでいい。
でもあの頃は、友達よりも私を優先して、なんていえなかったの。